伝統

薪能、今年も観てきた。
いや〜、惹き込まれるなぁ。
鼓の音、衣装、声、リズム、足さばき。
調和した流れがあって、なんだか大いなるものを感じさせる。場の力、とでもいうのか。
オペラより好きだな。
10年前、ウィーンに一ヶ月滞在したとき、オペラを観まくったことがある。
台詞がよくわからんのは同じだけれど、能のリズムの方が、身体に染み込んでくる。
オペラもそれなりに感動したけど、なんつうか、呼び起こされる、とまでは無かったというか。
やっぱ日本人だからなのか?
今の方が感性豊かだから?
単に歳くってきたから?
そういえば、亡くなったじいちゃんはいつも、NHKで落語やら能やらばっか見てたな。
他にやることないの?なんてバチアタリなことを当時は思ったもんだが、今思えば、もっと色々教えてもらっとくんだった。しかもじいちゃん、俳句の偉い先生だったらしいじゃないか。
まったく、もったいないことをしていたものだが、じいちゃんの血が25%流れているから、伝統を感じるのかも知れない。
月光の眩しい夜だった。